2025 .07.06
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維新の会の手本としては、オバマでも龍馬でもダメである理由(2) from 911/USAレポート/冷泉彰彦
→続き
その意味で「維新の会」という命名は、ここへ来て真剣な意味を帯びてきたと言うべきでしょう。正に倒幕であり、新政府の立ち上げ、そのぐらいのインパクトのある話だと思います。ただ、心配なのは維新の会とその支持者が、提案されている改革のインパクトについて、本当に理解しているのかという点です。
例えば、政策提言を「船中八策」などと命名して坂本龍馬を気取っているのは私は気に入りません。オリジナルの「船中八策」の内容は理念が中心で、民主主義や議会制、開国、自主防衛といった抽象的な話です。しかも、坂本龍馬というのは、そうした理念的な話をしながら、具体的な功績というのは薩長同盟の仲介と、大政奉還の提案というグループ間の調整が中心でした。
私に言わせれば、「維新の会」は龍馬気取りではダメなのです。維新のドラマに登場する人物で言えば、木戸であり、大久保でなくてはなりません。もっと言えば、木戸よりもっと健康であり、大久保がもっと懐が深くなったような人物を目指すべきであり、更に言えばその第2世代が伊藤や山縣へといきなりスケールダウンするのではなく、改革第一世代よりもっと大きな人物を育てるような仕組みがなくてはならないのです。
ちなみに、木戸にしても大久保にしても、また龍馬も一つの典型であるように、改革の起爆剤としては尊皇攘夷的なもの、つまり排外的で情緒的なものをスタート地点としつつも、実務的な改革の姿を描く中でどんどん開国と経済成長という方向性に変わっていった、その柔軟性と現実対応力こそ「維新」に学んでもらいたいものです。
この点で言えば、プロレスの試合で練習もしないで君が代を歌うとか、市議会や府議会で登壇するたびに国旗にペコペコさせるなどという品のないパフォーマンスは止めるべきだと思います。何よりも、そうした行動様式というのは徒党を組んで敵と力競べをする段階でしか通用するものではなく、激しい改革を実務も含めてやり抜いたり、複雑な利害調整を乗り切ったり、自分たちよりスケールの大きな次世代を育成したりという「改革本番」には必要のないものだからです。
ところで、中央官庁でも大臣が会見する際に国旗に一礼したりしていますが、あれもいつまでたっても不自然なままなので止めることはできないのでしょうか? 福島第一原発事故で厳しい局面が続いていた時に、当時の枝野幸男官房長官が会見のたびに国旗にお辞儀をしているのが、CNNでは何度も何度も放映されましたが、「国旗というモノ」に拝跪している姿というのは、どうしても人間を小さく見せるのです。制度に縛られ、儀式的な手続きに縛られており、自身には柔軟な決断を下す権限の与えられていない人物、海外からはどうしてもそんな印象に見えてしまいます。
そもそも、勝海舟が日の丸を掲げて咸臨丸で太平洋を渡った時には、海外でも日本人が胸を張るために旗を掲げていったのだと思います。勿論、日の丸の発明は勝よりももっと以前に遡るわけですが、いずれにしても日本の日の丸というのは、「日出ずる国」という言い方にもあるように昇日の象徴であり見上げるもののはずです。それをペコペコするというのは、まるで沈んでいく日を追っているようで景気の悪い話とも言えます。
維新を名乗るのであれば、そうした気概も復活させて欲しいのです。とにかく、日の丸や君が代を政治課題にするというのは、政敵との心理戦をハッタリ的に勝ち抜こうという手法に過ぎないわけで、もうここまで本質的な改革案を出してきたのであれば、以降の論争はもっと正々堂々としてゆかないと、どこかで失速するのではないかと思います。
教育を巡る政策に関しても、どこかで過去の経緯からの「力比べ」を脱すべきです。「公立校の活性化と格差是正」「公立校への健全な能力主義の導入」という具体的な政策にフォーカスして確実にこれを実行するのが先で、教委などの既得権者とのケンカでズルズル時間が取られてはダメだと思うのです。
具体的には教育委員の公選制というのが、今の時代の世論のバランス感覚を反映するにはいいと思います。首長は地域の短期的長期的な経済合理性で仕事をしますが、教育は貨幣価値で測れない部分も含めて違う観点から行政府と切磋琢磨するのがいいからです。その代わり、現役の保護者に教員の評価をさせるなどという不安定な制度は止めるべきです。保護者の判断にはその名の通り子供を保護しようという本能的なバイアスが強く、時にはバランスを失って迷走することもあるからです。
いずれにしても、今回の橋下市長の国政進出計画は、オバマ改革などという「微修正」とは比較にならないほどの規模の大きな話です。また、現段階は坂本龍馬のような調整役の出番でもありません。また教委や「知識人」とのケンカで世論が引っ張れる段階ももう終わりです。
この先は本当に真剣な話になるのです。(1)政権への影響力行使への具体的なステップ、そして(2)明らかに優秀な人材が集まり育つ仕組み、更には(3)リストラ効果だけでなく経済成長を実現する実効ある国レベルでの政策、この三点を早く策定してもらいたいと思います。
【JMM】from 911/USAレポート / 冷泉 彰彦(作家:米国在住)
(この記事は社会(村上龍 Japan Mail Media)から引用させて頂きました)
→続き
その意味で「維新の会」という命名は、ここへ来て真剣な意味を帯びてきたと言うべきでしょう。正に倒幕であり、新政府の立ち上げ、そのぐらいのインパクトのある話だと思います。ただ、心配なのは維新の会とその支持者が、提案されている改革のインパクトについて、本当に理解しているのかという点です。
例えば、政策提言を「船中八策」などと命名して坂本龍馬を気取っているのは私は気に入りません。オリジナルの「船中八策」の内容は理念が中心で、民主主義や議会制、開国、自主防衛といった抽象的な話です。しかも、坂本龍馬というのは、そうした理念的な話をしながら、具体的な功績というのは薩長同盟の仲介と、大政奉還の提案というグループ間の調整が中心でした。
私に言わせれば、「維新の会」は龍馬気取りではダメなのです。維新のドラマに登場する人物で言えば、木戸であり、大久保でなくてはなりません。もっと言えば、木戸よりもっと健康であり、大久保がもっと懐が深くなったような人物を目指すべきであり、更に言えばその第2世代が伊藤や山縣へといきなりスケールダウンするのではなく、改革第一世代よりもっと大きな人物を育てるような仕組みがなくてはならないのです。
ちなみに、木戸にしても大久保にしても、また龍馬も一つの典型であるように、改革の起爆剤としては尊皇攘夷的なもの、つまり排外的で情緒的なものをスタート地点としつつも、実務的な改革の姿を描く中でどんどん開国と経済成長という方向性に変わっていった、その柔軟性と現実対応力こそ「維新」に学んでもらいたいものです。
この点で言えば、プロレスの試合で練習もしないで君が代を歌うとか、市議会や府議会で登壇するたびに国旗にペコペコさせるなどという品のないパフォーマンスは止めるべきだと思います。何よりも、そうした行動様式というのは徒党を組んで敵と力競べをする段階でしか通用するものではなく、激しい改革を実務も含めてやり抜いたり、複雑な利害調整を乗り切ったり、自分たちよりスケールの大きな次世代を育成したりという「改革本番」には必要のないものだからです。
ところで、中央官庁でも大臣が会見する際に国旗に一礼したりしていますが、あれもいつまでたっても不自然なままなので止めることはできないのでしょうか? 福島第一原発事故で厳しい局面が続いていた時に、当時の枝野幸男官房長官が会見のたびに国旗にお辞儀をしているのが、CNNでは何度も何度も放映されましたが、「国旗というモノ」に拝跪している姿というのは、どうしても人間を小さく見せるのです。制度に縛られ、儀式的な手続きに縛られており、自身には柔軟な決断を下す権限の与えられていない人物、海外からはどうしてもそんな印象に見えてしまいます。
そもそも、勝海舟が日の丸を掲げて咸臨丸で太平洋を渡った時には、海外でも日本人が胸を張るために旗を掲げていったのだと思います。勿論、日の丸の発明は勝よりももっと以前に遡るわけですが、いずれにしても日本の日の丸というのは、「日出ずる国」という言い方にもあるように昇日の象徴であり見上げるもののはずです。それをペコペコするというのは、まるで沈んでいく日を追っているようで景気の悪い話とも言えます。
維新を名乗るのであれば、そうした気概も復活させて欲しいのです。とにかく、日の丸や君が代を政治課題にするというのは、政敵との心理戦をハッタリ的に勝ち抜こうという手法に過ぎないわけで、もうここまで本質的な改革案を出してきたのであれば、以降の論争はもっと正々堂々としてゆかないと、どこかで失速するのではないかと思います。
教育を巡る政策に関しても、どこかで過去の経緯からの「力比べ」を脱すべきです。「公立校の活性化と格差是正」「公立校への健全な能力主義の導入」という具体的な政策にフォーカスして確実にこれを実行するのが先で、教委などの既得権者とのケンカでズルズル時間が取られてはダメだと思うのです。
具体的には教育委員の公選制というのが、今の時代の世論のバランス感覚を反映するにはいいと思います。首長は地域の短期的長期的な経済合理性で仕事をしますが、教育は貨幣価値で測れない部分も含めて違う観点から行政府と切磋琢磨するのがいいからです。その代わり、現役の保護者に教員の評価をさせるなどという不安定な制度は止めるべきです。保護者の判断にはその名の通り子供を保護しようという本能的なバイアスが強く、時にはバランスを失って迷走することもあるからです。
いずれにしても、今回の橋下市長の国政進出計画は、オバマ改革などという「微修正」とは比較にならないほどの規模の大きな話です。また、現段階は坂本龍馬のような調整役の出番でもありません。また教委や「知識人」とのケンカで世論が引っ張れる段階ももう終わりです。
この先は本当に真剣な話になるのです。(1)政権への影響力行使への具体的なステップ、そして(2)明らかに優秀な人材が集まり育つ仕組み、更には(3)リストラ効果だけでなく経済成長を実現する実効ある国レベルでの政策、この三点を早く策定してもらいたいと思います。
【JMM】from 911/USAレポート / 冷泉 彰彦(作家:米国在住)
(この記事は社会(村上龍 Japan Mail Media)から引用させて頂きました)
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2012 .02.14
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木村汎氏講演「メドベージェフ氏を陰で操るプーチン氏」
3月4日に行われるロシア大統領選でプーチン首相が大統領に返り咲くのは確実だ。メドベージェフ大統領とともに、「双頭政治」といわれたが、実際にはプーチン氏がメドベージェフ氏を陰から操縦しており、事実上はプーチン政権の続きだ。
ロシアは、憲法改正で大統領の任期を1期6年まで延ばして2期務めることを可能にした。プーチン氏が権力の座に就けば、2期12年続くことを覚悟しなければならない。メドベージェフ氏の大統領時代とあわせて、これまでの12年と、今後の12年の計24年間、プーチン政権が続くことになる。
プーチン氏の当選が99・9%決まっている大統領選で最大の焦点は、1回目の投票でプーチン氏が圧勝できるか、決選投票にもつれこむのかだ。「国民的指導者」として、プーチン氏は1回目の投票で圧倒的な勝利が必要だ。議会選挙で不正が行われたのに続いて、大統領選でどの程度の不正が行われるのかも、プーチン政権の強弱をはかるバロメーターになる。
独立系調査機関によると、プーチン氏の人気が落ちており、決選投票になるとの予測も出ている。ただ、決選投票になっても、3位以下の候補はプーチン氏と妥協する人物で、プーチン氏の当選は動くことはない。
しかし、昨年9月にプーチン氏が大統領に返り咲くことを発表して以来、ロシア国内で大規模なデモが起こっているのは、大きな地殻変動だ。ロシア国民は長期の独裁政治に飽き飽きしてきている。インターネットで国境を越えて情報を得る世代がデモを行っており、プーチン体制は「ゆっくりではあるが、着実に衰退しつつある」とみられている。
北方領土の返還交渉をめぐっては、愛国主義者のプーチン氏が領土を返す気はない。しかし、インターネットを利用する世代では、親日的な新しいロシア人が生まれてきている。また、中国に対する脅威と省エネなど科学技術の問題で、ロシアは日本に協力を求めて接近をしてきており、交渉の際にはプラスの要素となる。
一方、日本では、一括返還を求める「原則論」と段階的返還などの「妥協論」に意見が分かれており、団結が必要だ。当面、返還のチャンスは来ないかもしれないが、プーチン体制が崩壊したときに、日本は一気に交渉を進める必要がある。
(この記事は政治(産経新聞)から引用させて頂きました)
3月4日に行われるロシア大統領選でプーチン首相が大統領に返り咲くのは確実だ。メドベージェフ大統領とともに、「双頭政治」といわれたが、実際にはプーチン氏がメドベージェフ氏を陰から操縦しており、事実上はプーチン政権の続きだ。
ロシアは、憲法改正で大統領の任期を1期6年まで延ばして2期務めることを可能にした。プーチン氏が権力の座に就けば、2期12年続くことを覚悟しなければならない。メドベージェフ氏の大統領時代とあわせて、これまでの12年と、今後の12年の計24年間、プーチン政権が続くことになる。
プーチン氏の当選が99・9%決まっている大統領選で最大の焦点は、1回目の投票でプーチン氏が圧勝できるか、決選投票にもつれこむのかだ。「国民的指導者」として、プーチン氏は1回目の投票で圧倒的な勝利が必要だ。議会選挙で不正が行われたのに続いて、大統領選でどの程度の不正が行われるのかも、プーチン政権の強弱をはかるバロメーターになる。
独立系調査機関によると、プーチン氏の人気が落ちており、決選投票になるとの予測も出ている。ただ、決選投票になっても、3位以下の候補はプーチン氏と妥協する人物で、プーチン氏の当選は動くことはない。
しかし、昨年9月にプーチン氏が大統領に返り咲くことを発表して以来、ロシア国内で大規模なデモが起こっているのは、大きな地殻変動だ。ロシア国民は長期の独裁政治に飽き飽きしてきている。インターネットで国境を越えて情報を得る世代がデモを行っており、プーチン体制は「ゆっくりではあるが、着実に衰退しつつある」とみられている。
北方領土の返還交渉をめぐっては、愛国主義者のプーチン氏が領土を返す気はない。しかし、インターネットを利用する世代では、親日的な新しいロシア人が生まれてきている。また、中国に対する脅威と省エネなど科学技術の問題で、ロシアは日本に協力を求めて接近をしてきており、交渉の際にはプラスの要素となる。
一方、日本では、一括返還を求める「原則論」と段階的返還などの「妥協論」に意見が分かれており、団結が必要だ。当面、返還のチャンスは来ないかもしれないが、プーチン体制が崩壊したときに、日本は一気に交渉を進める必要がある。
(この記事は政治(産経新聞)から引用させて頂きました)