2025 .07.10
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2011 .11.24
焦点:ユーロ圏債務危機は東欧や中国にも波及、世界経済揺るがす
[ロンドン 23日 ロイター] ギリシャに端を発した欧州債務危機は、非ユーロ圏である東欧の財政状況悪化や中国経済の減速という形で世界経済に波及し始めている。
23日に発表された指標は、成長の勢いを弱めることなく債務削減を進めることがいかに難しいかを浮き彫りにした。
HSBCが23日発表した11月の中国購買担当者景気指数(PMI、季節調整済み)は48で、前月の51.0(確報値)から大幅低下。2009年3月以来、2年8か月ぶりの低水準を記録した。中国経済がハードランディングし、世界経済のリセッション(景気後退)入りに導くとの懸念が再燃した。
11月のユーロ圏PMI速報値も、総合指数が47.2となり、 景況感の改善と悪化の節目となる50を3カ月連続で下回った。
ある政府高官は「世界経済は非常にゆっくりとしたペースでの成長局面にある。現在の状況が今後の15─20年を決定することになる」との見方を示した。
バークレイズ・キャピタル(香港)のアナリストは顧客向けリポートで「(中国の)2012年成長率は従来予想を下回る8.4%になる見通しだ。ユーロ圏景気見通しが悪化し(緩やかなリセッションの可能性が高まっている)ほか、中国の不動産市場の調整が続き、範囲も拡大していることが主要因だ」と指摘した。
<債務危機の影響、世界中に拡大>
金融チャネルを通じてユーロ圏の債務危機は他国へ拡大している。
欧州の銀行は当局が求める水準に資本を増強するため、中核市場以外での資産圧縮を進めており、アルバニアからオーストラリアまで、世界各国で資金調達状況がひっ迫する可能性がある。スペインのサンタンデール銀行<SAN.MC>は22日、資本増強に向けチリ部門を10億ドルで売却する方針を明らかにした。
アジア通貨も債務危機の打撃を受けている。インドルピーは対ドルで22日、過去最低を記録した。キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のアンドリュー・ケニンガム氏は「為替相場が新興市場国への資本フローに今後も左右され、ユーロ圏の債務危機が2012年も景気の足かせになることを踏まえると、ポートフォリオ投資の解消が進み、ルピーは一段と下落する」との見方を示した。
債務危機への対応では、テクニカル面で実行可能な策は整っている。欧州首脳陣は、欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)の拡充で既に合意しているほか、欧州中央銀行(ECB)は、財政問題を抱える国の国債を買い支えている。また、欧州委員会は危機の抜本対策として、ユーロ圏共同債発行の構想や加盟国の財政規律強化案を提案した。
欠けているのは、ユーロ圏の基盤強化に向けた、黒字国と赤字国との間での包括的な政治合意だろう。財政状況が安定している国は重債務国を保証できるか。赤字国の議会はEUによる予算監督を受け入れるだろうか。さらに、ユーロ圏内の根本的な経済不均衡は是正されるか、という問題が残る。
23日に実施されたドイツ10年国債入札は、ユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツが最終的に他国の債務を負担することになるとの警戒感が高まり、金融機関からの応募は予定額に届かず札割れとなった。予定額60億ユーロのうち、ドイツ連銀が全体の39%を購入。金融機関による落札は36億4400万ユーロにとどまった。
モニュメント証券のストラテジスト、マーク・オストワルド氏は「極めてひどい結果となった。今年最悪の入札だ」と指摘した。
一方、ECBのコンスタンシオ副総裁は、独国債入札に関するアナリストの「ひどい」結果とのコメントについて「市場はよくオーバーシュート」する、とし「冷静を保つべき」との考えを示した。
ただ、同副総裁は、加盟国の長期国債の買い手が突然なくなるという状況は、単一通貨ユーロ導入当初は想定されていなかったことだとし、必要なことは、一段の財政統合と実行可能な支援の仕組みを構築すること、との考えを示した。
副総裁は、詳細をつめ実行に移すには数年かかるかもしれないが、一段の改革が必要という点で当局者が合意していることを市場が確認すれば、混乱は収まると指摘。「最終的なゴールは、非常に明確で説明されており、しっかりと信頼できるものである必要がある」との考えを示した。
(ロイターニュース 英文 Alan Wheatley;翻訳 伊藤恭子;編集 佐々木美和)
(この記事は経済総合(ロイター)から引用させて頂きました)
[ロンドン 23日 ロイター] ギリシャに端を発した欧州債務危機は、非ユーロ圏である東欧の財政状況悪化や中国経済の減速という形で世界経済に波及し始めている。
23日に発表された指標は、成長の勢いを弱めることなく債務削減を進めることがいかに難しいかを浮き彫りにした。
HSBCが23日発表した11月の中国購買担当者景気指数(PMI、季節調整済み)は48で、前月の51.0(確報値)から大幅低下。2009年3月以来、2年8か月ぶりの低水準を記録した。中国経済がハードランディングし、世界経済のリセッション(景気後退)入りに導くとの懸念が再燃した。
11月のユーロ圏PMI速報値も、総合指数が47.2となり、 景況感の改善と悪化の節目となる50を3カ月連続で下回った。
ある政府高官は「世界経済は非常にゆっくりとしたペースでの成長局面にある。現在の状況が今後の15─20年を決定することになる」との見方を示した。
バークレイズ・キャピタル(香港)のアナリストは顧客向けリポートで「(中国の)2012年成長率は従来予想を下回る8.4%になる見通しだ。ユーロ圏景気見通しが悪化し(緩やかなリセッションの可能性が高まっている)ほか、中国の不動産市場の調整が続き、範囲も拡大していることが主要因だ」と指摘した。
<債務危機の影響、世界中に拡大>
金融チャネルを通じてユーロ圏の債務危機は他国へ拡大している。
欧州の銀行は当局が求める水準に資本を増強するため、中核市場以外での資産圧縮を進めており、アルバニアからオーストラリアまで、世界各国で資金調達状況がひっ迫する可能性がある。スペインのサンタンデール銀行<SAN.MC>は22日、資本増強に向けチリ部門を10億ドルで売却する方針を明らかにした。
アジア通貨も債務危機の打撃を受けている。インドルピーは対ドルで22日、過去最低を記録した。キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のアンドリュー・ケニンガム氏は「為替相場が新興市場国への資本フローに今後も左右され、ユーロ圏の債務危機が2012年も景気の足かせになることを踏まえると、ポートフォリオ投資の解消が進み、ルピーは一段と下落する」との見方を示した。
債務危機への対応では、テクニカル面で実行可能な策は整っている。欧州首脳陣は、欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)の拡充で既に合意しているほか、欧州中央銀行(ECB)は、財政問題を抱える国の国債を買い支えている。また、欧州委員会は危機の抜本対策として、ユーロ圏共同債発行の構想や加盟国の財政規律強化案を提案した。
欠けているのは、ユーロ圏の基盤強化に向けた、黒字国と赤字国との間での包括的な政治合意だろう。財政状況が安定している国は重債務国を保証できるか。赤字国の議会はEUによる予算監督を受け入れるだろうか。さらに、ユーロ圏内の根本的な経済不均衡は是正されるか、という問題が残る。
23日に実施されたドイツ10年国債入札は、ユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツが最終的に他国の債務を負担することになるとの警戒感が高まり、金融機関からの応募は予定額に届かず札割れとなった。予定額60億ユーロのうち、ドイツ連銀が全体の39%を購入。金融機関による落札は36億4400万ユーロにとどまった。
モニュメント証券のストラテジスト、マーク・オストワルド氏は「極めてひどい結果となった。今年最悪の入札だ」と指摘した。
一方、ECBのコンスタンシオ副総裁は、独国債入札に関するアナリストの「ひどい」結果とのコメントについて「市場はよくオーバーシュート」する、とし「冷静を保つべき」との考えを示した。
ただ、同副総裁は、加盟国の長期国債の買い手が突然なくなるという状況は、単一通貨ユーロ導入当初は想定されていなかったことだとし、必要なことは、一段の財政統合と実行可能な支援の仕組みを構築すること、との考えを示した。
副総裁は、詳細をつめ実行に移すには数年かかるかもしれないが、一段の改革が必要という点で当局者が合意していることを市場が確認すれば、混乱は収まると指摘。「最終的なゴールは、非常に明確で説明されており、しっかりと信頼できるものである必要がある」との考えを示した。
(ロイターニュース 英文 Alan Wheatley;翻訳 伊藤恭子;編集 佐々木美和)
(この記事は経済総合(ロイター)から引用させて頂きました)
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