2025 .07.09
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2011 .12.16
中高年と若者との会話が、噛み合わない理由
津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(4):
会社にいる年配の人たちと話をしていて「会話がうまく噛み合わないなあ」と感じたことがある人もいるだろう。その原因はどこにあるのか? 社会学者の鈴木謙介さんとジャーナリストの津田大介さんが分析した。
【拡大画像、ほか】
●“幸せ度”が高い人たち
津田:この2~3年で、大きく変化していることがあると思っています。社会にはいろいろな問題がありますが、情報社会によってその問題が顕在化しやすくなりました。そして、その問題に対して「誰も対応しないのなら、オレがやるよ」という動きが広がってきているのではないでしょうか。またそうした動きをすることによるリスクも、年々減ってきているように感じています。
「誰もやらないから、オレがやる」。そしてそのことによって手にするリターンが、以前と比べケタが違うくらい倍率が上がってきていると思いますね。
画像:津田大介さんと鈴木謙介さんの対談のようす、ほか(http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1112/16/news012.html)
鈴木:「自分の中に社会貢献意欲はどのくらいあるのか?」といったことを気にされた人は少ないのではないでしょうか。『SQ “かかわり”の知能指数』の中で、僕は社会貢献意欲を点数化しました。
社会貢献というと「世界のため」「人類のため」と考えている人のほうが「価値が高い」と思われるかもしれません。しかし社会貢献意欲と自分は幸せだという意識を掛け合わせると、遠くのところで貢献したいと思っている人よりも目の前で困っている人を助けたいと思っている人のほうが“幸せ度”が高いということが分かりました。
津田:ほうほう。
鈴木:「自分を犠牲にして世の中に貢献しなければいけない」「NPOのために、会社を辞めなければいけない」といったものではなく、自分が幸せになれる範囲の中で何らかの支援ができることに意味がある。「人類のために」ではなく「お隣さんのために」支援するだけで、人は幸せを感じることができるという結果が出ました。
究極の目標や大きな物語はないので、何をしていいのか分からない人に「とりあえず自分が幸せになれる楽しいことをやってみようよ。その楽しいということは、人に何かをしてあげられることだよね」といったメッセージを出せるかなあと思っています。
津田:生きづらさの全てが解消されるわけではないと思いますが、かなり解消されるかもしれませんね。
●中高年に足りないもの
鈴木:今の若者は「保守化」「草食化」などと言われています。しかしそうした分析は、「読み間違っているのでは」と感じています。
例えば「今の若者は海外旅行に行かない」と指摘されると、「昔と今は条件が違うので」と答えることができる。でもその前に、海外旅行に行かないことが問題であれば、「海外旅行に行かせるためにどうすればいいのか」――このことを考えることが大切です。
津田:そうですね。
鈴木:「今の若者は草食化している」ということが問題であれば、どうすれば肉食化できるのかを考えてほしい。要するにどうすればできるのかという「How」の部分が抜け落ちているんですよ。なので文句を言うだけで、終わってしまっているんです。
一方、文句を言われる側も言われるだけなので、「分かってねえなあ」といった感じで終わってしまう。
「How」のことを考えるのは、本来楽しいはず。起業したり、人と関わるというのは「How」の部分を考えるということ。もちろん失敗することもあると思いますが、「How」の部分を考えることは基本的な価値観だと思うんです。中高年の多くは、この「How」の部分が抜け落ちているなあと感じています。
津田:なるほど。
鈴木:また「中高年の人たちの語り方にも問題があるのかなあ」とも思っています。彼らは、難しいことを「What」で語るのが好きなんですよ。「これは何か」と聞かれ、分析するのはとても好き。しかし「どう使うか」「どうするのか」という話は、俗っぽいので嫌い。「ちょっと程度の低い話ではないか」と見ているのかなと。
逆に若い世代は「What」の話よりも、「How」の話に興味を持つ人が多い。なので中高年の人たちは、もっと「How」の部分を語ってほしいなあと思っています。
●津田さんが作りたいメディア
津田:僕が作りたい政治メディアでは、自分がオピニオンを提示するのではなく、そこにある問題を整理して記事にしていきたい。そして読者は記事を読んで終わりではなく、まず考えてもらう。考えてもらい、次にアクションを起こしてもらいたい。そのアクションにつながるようなメディアを作りたいですね。
鈴木:どうやって「How」を起こさせるか、という点ですね。
津田:そこの設計のアイデアを、今、一生懸命考えています。
鈴木:具体的にはどんなアクションを起こしてほしいですか。
津田:デモかもしれないし、パブリックコメントかもしれない。もしかしたら違うやり方があるかもしれない。
「社会というのは、どうようにすれば変わるんだろう」と考えている人も多いのではないでしょうか。橋下徹さんが大阪市長選に勝利したのは「彼なら何かを変えてくれそうだ」と感じた人が多かったからだと思う。
鈴木:なるほど。
津田:今、さまざまな問題がありますが、それについての記事を発表する。そしてアクションを提示して、読者がネット上で正しく騒げるようなメディアを作れればいいなあと思っています。
鈴木:面白いですね。中高年の世代は「不完全なモノを出してはいけない」という人が多い。なぜならバグなしのパッケージを出すことに意味があった時代に育ったから。バクなしのモノを出す人がえらく、重箱の隅をつつくようなバグを発見する人が「頭がいい」と思われていた。
津田:ふむ。
鈴木:しかし今はバグありのモノを出すのが大前提になっている。本当はバグはあってはいけないが、どうしても出てくる。問題があっても「ベータ版なので……」と言って、バージョンを上げていく。
「なにをやるか」というパッケージは完璧ではないが、「どうやるのか」ということについては山のようにツールがある。そして使えないものをはずしたり、もっと使いやすいものを入れたりする。「How」の部分をアップデートしていくと、最終的に完璧なパッケージは出せないかもしれませんが、高い確率で一定の運用実績が出てくるのかなあと思っています。
30代に必要なことは、ビジョンを語ることではなくて、「手段」を作ることかもしれません。
津田:そうだと思いますね。30代は経験もあるし、知識もあるし、いろいろなことを生かせる立場になっている。お金も多少の余力があれば、「プロボノ」っぽいこともできますしね。
(次回、12月19日掲載予定)
[土肥義則,Business Media 誠]
(この記事は産業(Business Media 誠)から引用させて頂きました)
津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(4):
会社にいる年配の人たちと話をしていて「会話がうまく噛み合わないなあ」と感じたことがある人もいるだろう。その原因はどこにあるのか? 社会学者の鈴木謙介さんとジャーナリストの津田大介さんが分析した。
【拡大画像、ほか】
●“幸せ度”が高い人たち
津田:この2~3年で、大きく変化していることがあると思っています。社会にはいろいろな問題がありますが、情報社会によってその問題が顕在化しやすくなりました。そして、その問題に対して「誰も対応しないのなら、オレがやるよ」という動きが広がってきているのではないでしょうか。またそうした動きをすることによるリスクも、年々減ってきているように感じています。
「誰もやらないから、オレがやる」。そしてそのことによって手にするリターンが、以前と比べケタが違うくらい倍率が上がってきていると思いますね。
画像:津田大介さんと鈴木謙介さんの対談のようす、ほか(http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1112/16/news012.html)
鈴木:「自分の中に社会貢献意欲はどのくらいあるのか?」といったことを気にされた人は少ないのではないでしょうか。『SQ “かかわり”の知能指数』の中で、僕は社会貢献意欲を点数化しました。
社会貢献というと「世界のため」「人類のため」と考えている人のほうが「価値が高い」と思われるかもしれません。しかし社会貢献意欲と自分は幸せだという意識を掛け合わせると、遠くのところで貢献したいと思っている人よりも目の前で困っている人を助けたいと思っている人のほうが“幸せ度”が高いということが分かりました。
津田:ほうほう。
鈴木:「自分を犠牲にして世の中に貢献しなければいけない」「NPOのために、会社を辞めなければいけない」といったものではなく、自分が幸せになれる範囲の中で何らかの支援ができることに意味がある。「人類のために」ではなく「お隣さんのために」支援するだけで、人は幸せを感じることができるという結果が出ました。
究極の目標や大きな物語はないので、何をしていいのか分からない人に「とりあえず自分が幸せになれる楽しいことをやってみようよ。その楽しいということは、人に何かをしてあげられることだよね」といったメッセージを出せるかなあと思っています。
津田:生きづらさの全てが解消されるわけではないと思いますが、かなり解消されるかもしれませんね。
●中高年に足りないもの
鈴木:今の若者は「保守化」「草食化」などと言われています。しかしそうした分析は、「読み間違っているのでは」と感じています。
例えば「今の若者は海外旅行に行かない」と指摘されると、「昔と今は条件が違うので」と答えることができる。でもその前に、海外旅行に行かないことが問題であれば、「海外旅行に行かせるためにどうすればいいのか」――このことを考えることが大切です。
津田:そうですね。
鈴木:「今の若者は草食化している」ということが問題であれば、どうすれば肉食化できるのかを考えてほしい。要するにどうすればできるのかという「How」の部分が抜け落ちているんですよ。なので文句を言うだけで、終わってしまっているんです。
一方、文句を言われる側も言われるだけなので、「分かってねえなあ」といった感じで終わってしまう。
「How」のことを考えるのは、本来楽しいはず。起業したり、人と関わるというのは「How」の部分を考えるということ。もちろん失敗することもあると思いますが、「How」の部分を考えることは基本的な価値観だと思うんです。中高年の多くは、この「How」の部分が抜け落ちているなあと感じています。
津田:なるほど。
鈴木:また「中高年の人たちの語り方にも問題があるのかなあ」とも思っています。彼らは、難しいことを「What」で語るのが好きなんですよ。「これは何か」と聞かれ、分析するのはとても好き。しかし「どう使うか」「どうするのか」という話は、俗っぽいので嫌い。「ちょっと程度の低い話ではないか」と見ているのかなと。
逆に若い世代は「What」の話よりも、「How」の話に興味を持つ人が多い。なので中高年の人たちは、もっと「How」の部分を語ってほしいなあと思っています。
●津田さんが作りたいメディア
津田:僕が作りたい政治メディアでは、自分がオピニオンを提示するのではなく、そこにある問題を整理して記事にしていきたい。そして読者は記事を読んで終わりではなく、まず考えてもらう。考えてもらい、次にアクションを起こしてもらいたい。そのアクションにつながるようなメディアを作りたいですね。
鈴木:どうやって「How」を起こさせるか、という点ですね。
津田:そこの設計のアイデアを、今、一生懸命考えています。
鈴木:具体的にはどんなアクションを起こしてほしいですか。
津田:デモかもしれないし、パブリックコメントかもしれない。もしかしたら違うやり方があるかもしれない。
「社会というのは、どうようにすれば変わるんだろう」と考えている人も多いのではないでしょうか。橋下徹さんが大阪市長選に勝利したのは「彼なら何かを変えてくれそうだ」と感じた人が多かったからだと思う。
鈴木:なるほど。
津田:今、さまざまな問題がありますが、それについての記事を発表する。そしてアクションを提示して、読者がネット上で正しく騒げるようなメディアを作れればいいなあと思っています。
鈴木:面白いですね。中高年の世代は「不完全なモノを出してはいけない」という人が多い。なぜならバグなしのパッケージを出すことに意味があった時代に育ったから。バクなしのモノを出す人がえらく、重箱の隅をつつくようなバグを発見する人が「頭がいい」と思われていた。
津田:ふむ。
鈴木:しかし今はバグありのモノを出すのが大前提になっている。本当はバグはあってはいけないが、どうしても出てくる。問題があっても「ベータ版なので……」と言って、バージョンを上げていく。
「なにをやるか」というパッケージは完璧ではないが、「どうやるのか」ということについては山のようにツールがある。そして使えないものをはずしたり、もっと使いやすいものを入れたりする。「How」の部分をアップデートしていくと、最終的に完璧なパッケージは出せないかもしれませんが、高い確率で一定の運用実績が出てくるのかなあと思っています。
30代に必要なことは、ビジョンを語ることではなくて、「手段」を作ることかもしれません。
津田:そうだと思いますね。30代は経験もあるし、知識もあるし、いろいろなことを生かせる立場になっている。お金も多少の余力があれば、「プロボノ」っぽいこともできますしね。
(次回、12月19日掲載予定)
[土肥義則,Business Media 誠]
(この記事は産業(Business Media 誠)から引用させて頂きました)
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